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船場橋(宇土市指定有形文化財)

ピンク色の石橋は、宇土市民のふるさとの風景

実は物流の要所だった宇土

宇土市の船場町・石小路町付近は、もともと宇土の領主であった小西行長が船着き場として整備。江戸時代になってからは物流の要所となりました。近くに宇土細川藩の蔵屋敷をはじめ、船手奉行屋敷(舟を管理する役職)などもあり、活気に満ちていたことがうかがえます。


この船着き場の横にあるのが、石で造られた眼鏡橋「船場橋」です。建造年代ははっきりしませんが、幕末の安政年間ごろではないかと考えられています。長さ13.7m、幅4.1mの単一アーチ橋。すき間なく石が積み重ねられ、なだらかなカーブが美しい造形を作り出しています。


ピンク色の石の正体は?

船場橋の最大の特長は、石橋の一部がピンクに近い明るい色をしていること。この石の正体は「馬門(まかど)石」。


今から9万年前、阿蘇山の大爆発で流れた火砕流が冷えて固まった「阿蘇溶結凝灰岩」のうち、宇土市網津町馬門付近からのみ産出される石です。その華やかな色合いから、古来より古墳の石棺などに使われ、遠くは近畿地方でも発見されるほど。


江戸時代には轟泉水道の水道管として使われ、現在も使用されています。


熊本地震からの華麗な復活!

船場橋は2016(平成28)年の熊本地震で大きな被害を受けました。欄干が壊れ、部分的な修繕では元の姿に戻れない状態に。そこで、2018(平成30)年から、橋全体を解体。石をひとつずつ組み直し、2年をかけて元の姿に復元されました。